森田社会保険労務士事務所

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雇用保険給付との調整



老齢年金と調整される雇用保険の給付には、高年齢雇用継続給付、基本手当があります。
どちらも特別支給の老齢厚生年金が調整対象となりますので65歳までは適用されるということです。

◆高年齢雇用継続給付との調整

<高年齢雇用継続給付との調整>
高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金が同時に受給できる場合、在職老齢年金の調整規定に加えて
老齢厚生年金の支給が調整(減額)されることになります。
60歳到達時の賃金月額をみなし賃金月額として次のとおり、最大で標準報酬月額の6%が調整(減額)
されます。

 (1)標準報酬月額がみなし賃金月額の61%未満であるとき
    調整額(1か月あたり)=標準報酬月額×6÷100
 (2)標準報酬月額がみなし賃金月額の61%以上75%未満であるとき
    調整額(1か月あたり)=標準報酬月額×調整率(*)
    調整率(*)=(−183A+13,275)÷280×100÷A×6÷15
    A=みなし賃金月額に対する支給対象月の標準報酬月額の割合(%)

◆基本手当との調整

<基本手当との調整>
基本手当と特別支給の老齢厚生年金は同時に受給できません。基本手当の受給申込(求職の申込み)を
すると年金が支給停止されます。
基本手当を実際に受給してから支給停止となるのではなく、求職の申込みイコール年金支給停止
(支払保留)となります。

特別支給の老齢厚生年金の受給権のある方が対象ですので65歳を過ぎれば、同時に受給可能となり
ます。
また、繰上げ受給の老齢基礎年金、障害年金、遺族年金は受給できます。

<支給停止期間は?>
求職の申込みを行った日の属する月の翌月から、その申込みにかかる基本手当の受給期間または所定給付日数が経過した日の属する月までが対象です。

<給付制限期間があった場合は?>
自己都合退職等により基本手当の給付制限期間(3ヶ月)があった場合でも求職の申込みをすれば
年金は支給停止となります。
そうすると求職の申込みをした当初は年金も基本手当も受給できない期間ができることになります。
給付制限期間を伴う場合は、事前に十分な検討を行い、求職の申込みをする必要があります。
なお、給付制限期間(3ヶ月)の年金は、基本手当受給終了後の事後精算で調整され、後で支払い
されることになります。

<受給中に再就職した場合は?>
ハローワークへの連絡は必要ですが、年金事務所へは連絡不要です。
ハローワークからの情報で就職したこと、もしくは基本手当を受給していないことがわかるように
なっています。その状況に応じて年金の支給が行われることになりますが、情報の取得、反映に時間
がかかるため、実際の受給はかなり遅れます。(3か月程度の遅れ)
また、厚生年金に加入となった場合は、在職老齢年金となり、在職老齢年金の調整が行われます。

<基本手当、年金のどちらを選択した方がよいか?>
 それぞれ個人によって状況が異なりますが、選択時には次の点も考慮した方がよいと思われます。
 @長期特例該当(被用者年金44年以上加入)、障害者特例該当(障害1級から3級該当)となる方の
  場合は、報酬比例部分に定額部分がプラスとなりますので年金の方が高くなる場合があります。
  また、配偶者加給年金もプラスになる場合がありますのでこちらも考慮するポイントです。
 A108万円以上の老齢年金を受給できる場合、所得税が源泉徴収されます。
  これに対して基本手当は非課税です。
  特別支給の老齢厚生年金の年金額の方が高い場合は、所得税を考慮をして選択された方がよい
  と思われます。