森田社会保険労務士事務所

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遺族厚生年金


厚生年金から受給できる遺族給付です。
遺族厚生年金に関する受給要件、遺族の範囲、受給金額等について説明しています。

◆遺族厚生年金
 1.受給要件
 (1)厚生年金保険の被保険者が死亡したとき。
 (2)厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者であった間に初診日のある傷病により、
    当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
 (3)障害等級の1級または2級に該当する障害厚生年金の受給権者が死亡したとき。
 (4)老齢厚生年金の受給権者または、老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者が死亡したとき。
     平成29年8月から受給資格期間は10年以上となりましたが、遺族年金の受給要件では25年
     以上でなければ、受給資格期間を満たした者とはなりません。

 *ただし、(1)と(2)の場合は以下の保険料納付要件のいずれかを満たしている必要があります。
  @)死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、3分
    の2以上の期間が、いずれかの期間であること(3分の1を超える保険料の未納期間が
    ないこと)。
    @保険料を納付した期間
    A保険料を免除された期間
    B学生納付特例・若年納付猶予制度の対象期間
  A)ただし、令和8年4月1日前に死亡日があるときには、死亡日の前日において、65歳
    未満で、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がないこと

 2.遺族の範囲
  死亡した者によって生計を維持されていた次の人が対象となります。
   (1)配偶者および子(事実婚の婚姻関係を含みます)
   (2)父母
   (3)孫
   (4)祖父母
    ただし、以下のとおりの条件があります。
     @配偶者 ⇒ 妻は条件なし、夫は受給権発生日において55歳以上であること。
            夫の支給は60歳からとなりますが、遺族基礎年金を受給できる場合は、60歳
            未満であっても受給できます。
     A子および孫 ⇒ 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない、20歳未満で障害年金
              の障害等級1級または2級に該当し、婚姻をしていない者となります。
     B父母および祖父母 ⇒ 受給権発生日において55歳以上であること。
                 (支給は60歳からとなります。)

 3.年金額(2024年4月時点)
 (1)子のある配偶者(事実婚関係にある内縁の妻を含みます)
  報酬比例の年金額×3/4+遺族基礎年金+子の加算額

 (2)子のない中高齢の妻(事実婚関係にある内縁の妻を含みます)
  報酬比例の年金額×3/4+中高齢寡婦加算(※1)
  *ただし、受給権者が65歳以上のときは経過的寡婦加算(※2)

  ※1 中高齢寡婦加算(612,000円)
    @子のない妻で夫の死亡当時40歳以上65歳未満である場合、40歳から65歳に達するまでの
     間、加算されます。
    (ただし、1.受給要件(4)で受給権発生の場合は、死亡した者の厚生年金保険の被保険者期間
     が240月(20年)以上あること)
    A子のある妻で夫の死亡当時40歳未満であるときは、加算対象となる子が18歳到達年度の末日
     (3月31日)に達した時点で40歳以上であれば、65歳に達するまでの間、加算されます。
  ※2 経過的寡婦加算
    中高齢寡婦加算を受給していた受給権者が65歳に達すると中高齢寡婦加算に代えて加算され
    ます。
     中高齢寡婦加算 − (満額の老齢基礎年金×寡婦の生年月日に応じた支給乗率)

    *注 昭和31年4月2日生まれ以降の場合、経過的寡婦加算は支給されなくなります。
       また、中高齢寡婦加算よりも少ない金額ですので中高齢寡婦加算がプラスされていた
       場合、65歳以降の遺族厚生年金の金額は必ず少なくなります。

 (3)子
  (報酬比例の年金額×3/4+遺族基礎年金+2人目以降の子の加算額)÷ 子の人数

  *100円未満を四捨五入した金額が1人あたりの金額になります。

 (4)夫、父母、孫、祖父母等の上記(1)〜(3)に該当しない遺族
  報酬比例の年金額×3/4

 4.受給できる期間
  遺族基礎年金、遺族厚生年金は死亡した者の死亡日の翌月から、以下の各事由に該当して受給権が
  消滅した月まで受給できます。

  (1)受給権者であるすべての遺族に共通する事由
   @死亡したとき
   A婚姻(事実上の婚姻関係を含みます)したとき
   B養子となったとき(直系血族、直系姻族の養子となったときを除く)
   C離縁によって死亡した者との親族関係がなくなったとき

  (2)配偶者に支給されている場合
   加算対象のすべての子が以下に該当したとき、遺族基礎年金は失権し、遺族厚生年金のみの受給と
   なります。
   @死亡したとき
   A婚姻(事実上の婚姻関係を含みます)したとき
   B配偶者以外の人の養子になったとき(事実上養子縁組関係と同様の事情にある人を含む)
   C離縁によって死亡した者との親族関係がなくなったとき
   D配偶者と生計を同じくしなくなったとき
   E18歳到達年度の末日(3月31日)が終了したとき
    (20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当していた場合は、20歳になったとき)

  (3)遺族基礎年金の受給権がある子、もしくは遺族厚生年金の受給権がある子または孫に支給されて
   いる場合
   @死亡したとき
   A婚姻(事実上の婚姻関係を含みます)したとき
   B養子となったとき(直系血族、直系姻族の養子となったときを除く)
   C離縁によって死亡した者との親族関係がなくなったとき
   D18歳到達年度の末日(3月31日)が終了したとき
    (20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当していた場合は、20歳になったとき)

  (4)遺族厚生年金の受給権がある父母または祖父母に支給されている場合
   @死亡したとき
   A婚姻(事実上の婚姻関係を含みます)したとき
   B養子となったとき(直系血族、直系姻族の養子となったときを除く)
   C離縁によって死亡した者との親族関係がなくなったとき

 5.支給調整
  遺族厚生年金は以下の各事由に該当するとき、支給停止または支給調整されることがあります。

  (1)被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われる
    とき ⇒死亡から6年間、支給停止となります。
  (2)被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働者災害補償保険法の規定による遺族
    補償が行われるとき ⇒遺族基礎年金、遺族厚生年金は全額支給されますが、労災保険側は
    調整されます。(遺族基礎年金の場合は、労災保険が0.88となり、遺族基礎年金のみの場合
    は、労災保険が0.84、遺族基礎・遺族厚生年金の場合は、労災保険が0.80となります。)
  (3)子に対する遺族基礎年金、遺族厚生年金について配偶者に遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給権が
   あるとき⇒その間は支給停止となります。
  (4)夫に対する遺族厚生年金について、子が遺族厚生年金の受給権を有しているとき
    ⇒その間は支給停止となります。
  (5)先妻の子と後妻が生計同一でないとき
    ⇒ 子に遺族基礎年金、遺族厚生年金が支給され、妻に対しての遺族厚生年金は支給停止と
      なります。
  (6)配偶者に対する遺族基礎年金について、その人の所在が1年以上不明であるとき
    ⇒ 受給権を有する子の申請によって所在不明となったときまで遡って支給停止となります。
       (配偶者は支給停止解除の申請ができます)
  (7)受給権がある子が2人以上いるときに、そのうちの1人以上の所在が1年以上不明であるとき
    ⇒ その子に対する遺族基礎年金は、受給権を有する他の子の申請によって所在不明となった
      ときまで遡って支給停止となります。(その子は支給停止解除の申請ができます)